1時間の差で、仕入希望の車が成約手前で売れてしまった日

中古車との出会いは、まさに「一期一会」です。 新車のように、メーカーに発注すれば同じものが届くわけではありません。 年式、走行距離、色、装備、そして前のオーナー様がどのように扱ってきたかというコンディション。 これらすべてが合致する車は、世界に一台しか存在しません。

だからこそ、その一台を逃してしまった時の悔しさは、言葉では言い表せないものがあります。 先日、まさにその「残酷な現実」を突きつけられた、忘れられない出来事がありました。 たった「1時間」。 そのわずかな時間の差で、運命が変わってしまった日の話です。

最高の「一台」との出会い

ことの発端は、ある事業者様からの「探してほしい車がある」というご依頼でした。 車種は人気のあるSUVでしたが、お客様(エンドユーザー様)のこだわりが強く、色やグレード、サンルーフの有無など、非常に細かい条件が指定されていました。

私たちは独自のネットワークを駆使し、数日かけてようやく、条件にピッタリ合致する一台を見つけ出しました。 「これだ!」 スタッフ一同、思わず声を上げるほどの極上車でした。 すぐに事業者様にご連絡し、車両の詳細データと写真をお送りしました。

「1週間」という検討期間

事業者様も「これはいい!お客さんも絶対に気に入るはずだ」と好感触でした。 しかし、ここですぐに「買います」とはなりません。 当然のことながら、事業者様はその情報を持ち帰り、エンドユーザー様(実際に購入されるお客様)に提案し、商談を行わなければなりません。

「お客さんの返事をもらうまで、1週間ほど待ってもらえますか?」

私たちは「承知いたしました」とお答えしました。 高額な買い物です。ご家族との相談や、ローンの審査、駐車場の確認など、即決できない事情があるのは重々承知しています。 私たちはその車が売れてしまわないことを祈りつつ、商談の進展を見守ることにしました。

運命の電話

そして、約束の1週間後。 事業者様から「お客さんからOKが出ました!この車で進めてください!」という、嬉しいご連絡をいただきました。 私たちはすぐに、その車を保有している販売店に電話をかけました。

「先日問い合わせたあの車、購入します!手続きをお願いします!」

受話器の向こうで、担当者が申し訳なさそうに、しかしハッキリと言いました。

「あぁ、申し訳ありません…」「実は、ついさっき、別のお客様と契約が決まってしまったんです」

え?と私は言葉を失いました。 「いつですか?」

「本当に直前です。1時間ほど前です。。。」

たった、1時間。 1週間という長い時間を待って、ようやく購入の意思が固まり、電話をしたそのわずか60分前に、別の誰かが判子を押していたのです。 もし、お客様の決断が昨日だったら。 もし、私たちが朝一番に電話をかけていれば。 頭の中を「たられば」が駆け巡りましたが、後の祭りでした。 その「世界に一台の車」は、もう二度と手に入りません。

伝える辛さと、市場の現実

一番辛いのは、これから事業者様に「売れてしまいました」と報告しなければならないことです。エンドユーザー様は、もうその車に乗るつもりでワクワクされているはずです。その期待を、私たちの報告一つで壊さなければならない。「なんとか確保できなかったのか」とお叱りを受けるかもしれない。受話器を握る手が重くなったのを覚えています。

しかし、これが中古車市場の、紛れもない現実なのです。良い車、条件の良い車は、誰もが狙っています。私たちが「検討」している間にも、全国のどこかで、別の誰かがその車を「検索」し、「商談」し、「決断」しようとしています。

中古車ビジネスにおいて、「検討中の取り置き(キープ)」は原則としてできません。 あくまで「早い者勝ち」。 契約書にサインをし、手付金を払った者が勝つ。 非常にシビアですが、それがこの世界の絶対的なルールです。

教訓:スピードこそが、最大の「武器」

もちろん、お客様に「考えるな、今すぐ買え」と強要することはできません。 納得いくまで検討する時間は必要です。 しかし、今回の件で改めて痛感したのは、「決断のスピード」こそが、良い車を手に入れるための最大の武器であるということです。

「1週間」という時間は、中古車市場においては「永遠」にも等しい長さです。人気車であれば、掲載から数時間で売れてしまうことも珍しくありません。

私たちCAR GATEができること。それは、お客様を急かすことではありません。

「この車は人気なので、タッチの差で売れてしまうリスクが高いです」という現状を、正確に、正直にお伝えすること。 そして、お客様が少しでも早く決断できるよう、必要な情報(見積もりや状態の詳細)を、どこよりもスピーディーに提供することです。

「1時間の差」で泣くお客様を、もう見たくありません。そして、再商談する事業者様も見たくありません。 欲しい車が見つかった時。それは運命の出会いです。 その運命を逃さないために、私たちはこれからも、スピードと密な連携を何よりも大切にしていきたいと、心に強く誓った出来事でした。

CAR GATE