電話越しに、その言葉を投げかけられた瞬間、私は言葉を失いました。 スマホを握る手が、微かに震えたのを覚えています。
「御社は、本当に信頼できる業者ですか?」
「お金を振り込んだら、ちゃんと車は届くんですか?」
それは、初めてお取引をさせていただく、ある販売店様からのお電話でした。 私たちとしては、いつも通り、誠心誠意、車両の状態をお伝えし、適正な価格を提示し、商談を進めていたつもりでした。 にもかかわらず、相手の方は、最後の最後で、震えるような声でそう仰ったのです。
正直、悔しかったです。 私たちは、真面目にやっている。騙そうなんて微塵も思っていない。 それなのに、なぜそこまで疑われなければならないのか。なぜ、犯罪者予備軍のような扱いを受けなければならないのか。 込み上げてくる怒りと、やるせなさ。
しかし、一呼吸置いて冷静になった時、私はその怒りを飲み込みました。なぜなら、相手の方がそこまで疑心暗鬼になるのには、この業界が抱える「悲しい現実」があることを、痛いほど知っていたからです。
信頼を破壊してきた「裏切り」の歴史
中古車業界、特に業者間取引(業販)の世界は、性善説では成り立たないほど、荒廃してしまった側面があります。
「車を渡したのに、いつまで経っても入金がない。連絡もつかない」 いわゆる、持ち逃げ、飛び、というやつです。 あるいは、「仕入れた車を販売しようとしたら、名義変更がされておらず、前の所有者の所有権がついたままだった」という、名義変更(名変)トラブル。
これらは、決して都市伝説や過去の話ではありません。 今、この令和の時代になっても、平然と行われている詐欺行為や、ルーズな経営実態です。
電話の向こうの販売店様も、過去にそうした被害に遭われたのかもしれません。 信じて車を送り出したのに裏切られた痛み。 お客様から預かった大切なお金を、持ち逃げされた恐怖。
そんな経験をすれば、「初めての相手」を警戒するのは当たり前です。 彼らにとって、見ず知らずの業者は「パートナー」ではなく、「また自分を騙そうとしている敵」に見えてしまうのです。 その背景を考えた時、冒頭の「信頼できますか?」という言葉は、失礼な質問ではなく、彼らが自分たちの身を守るための、悲痛な叫びだったのだと気づきました。
信頼を得ることが、何よりも難しい時代
かつては、「車屋同士のよしみ」というだけで、阿吽の呼吸で取引が成立した時代もあったと聞きます。 しかし、一部の悪質な業者が撒き散らした毒によって、業界全体の土壌が汚染されてしまいました。
今や、信頼は「あって当たり前」のものではなく、「マイナスからのスタートで、必死に積み上げなければならないもの」になってしまいました。 どんなにホームページを綺麗にしても、どんなに電話対応を丁寧にしても、一度染み付いた「疑いの目」を晴らすのは容易ではありません。
真面目にやっている業者が、割を食う。 正直者が、馬鹿を見る。 そんな理不尽な空気が、今の業界には漂っています。
私たちもまた、試されている
偉そうなことを言っていますが、私たちCAR GATEもまた、この荒波の中で必死にもがいている一業者に過ぎません。
私たち自身も、新しい取引先と関わるたびに、 「この会社は大丈夫か?」と値踏みされ、疑われ、時には理不尽な対応をされることもあります。 一方で、私たち自身もまた、相手を「本当に信用していいのか?」と疑わなければならない場面もあります。
信頼を得られていると実感できる日もあれば、些細なミスや行き違いで、積み上げたものが崩れそうになる日もあります。 私たちは決して「信頼の完成形」として高みにいるわけではありません。 皆様と同じように、泥臭く、信頼を得られるかどうかのギリギリのラインを行ったり来たりしながら、それでも「信じてもらうための努力」を続けている最中です冒頭の電話の日、私は悔しさを噛み締めながら、こう答えました。
「疑われるお気持ち、痛いほど分かります。言葉だけで信用してくれとは言いません。これまでの取引実績や、私たちの取り組みを見て判断してください。私たちは、絶対に裏切りません」
結果として、その販売店様とは無事に取引が成立し、今では「あの時は失礼なことを言ってごめんね」と笑い合える関係になりました。
結論:逃げずに、証明し続けるしかない
「信頼できる業者ですか?」 この質問を二度とさせないために、私たちができることは、魔法のような解決策ではありません。
約束を守る。 嘘をつかない。 お金と書類のやり取りを、誰よりも迅速かつ正確に行う。
そんな「当たり前のこと」を、バカみたいに徹底し続けるだけです。 その積み重ねだけが、汚れてしまった業界のイメージを少しずつ浄化し、 「CAR GATEなら、目をつぶっていても安心して取引できる」 と言っていただける未来に繋がると信じています。
悔しい思いをしたあの日を忘れずに。 私たちは今日も、皆様からの「信頼」という名のゴールを目指して、誠実というハンドルを握り続けます。
CAR GATE

