「車は、所有(買う)するもの」。 この、「常識」が、今、根本から揺らいでいます。
トヨタの「KINTO」に代表されるメーカー系のサブスクリプション(サブスク)、そして従来から存在するリース契約。これらがIT企業やガソリンスタンドなど異業種をも巻き込み、急速に市場に浸透しています。
消費者の価値観は、車を「所有」することから、「利用(乗りたい時に、乗りたい期間だけ乗る)」することへと、確実にシフトし始めています。
私たち自動車販売店にとって、この流れは「顧客を奪う脅威」なのでしょうか?
いいえ、違います。これは、従来の「車を売って終わり」というビジネスモデルから脱却し、「新しい収益の柱」を築くための、最大のビジネスチャンスです。
では、私たちは具体的にどのような「新しい戦略」を取るべきなのでしょうか。
なぜ今、サブスク/リースが選ばれるのか?
戦略を考える前に、敵(=新しい価値観)を知らなければなりません。 なぜ消費者は、あえて「自分のものにならない」サブスクやリースを選ぶのでしょうか。
- 初期費用の不要(あるいは低額)
頭金や諸費用といった「まとまった出費」が不要なため、貯金が少ない若年層でも気軽に新車に乗り始められます。
- 月額定額の「分かりやすさ」
車両代、税金、保険料、メンテナンス費用がすべてコミコミで「月額〇〇円」という明朗会計。家計の管理が非常にしやすい。
- 「手間」からの解放
車検の手続き、税金の支払い、定期点検の予約といった、所有に伴うあらゆる「面倒ごと」から解放されます。
彼らは、車そのものを否定しているのではありません。「所有」に伴う「高額な初期費用」「不透明な維持費」「面倒な手続き」という3つの「不(負)」を、合理的に避けようとしているだけなのです。
この現実を踏まえ、自動車販売店が取るべき戦略は、大きく分けて3つあります。
戦略1:「パートナー」として、流れに乗る(代理店戦略)
最も早く、低リスクで始められる戦略です。 それは、大手メーカー系(KINTOなど)や、有力なリース会社の「正規取扱店(代理店)」になることです。
「敵」の軍門に下るように感じるかもしれませんが、メリットは計り知れません。
- 在庫リスクゼロ: 自社で車両を仕入れる必要がないため、在庫リスクや残価設定のリスクを一切負いません。
- 安定した手数料収入: 契約が成立するごとに、安定した販売手数料(コミッション)が得られます。
- 「入口」としての活用: サブスク/リース契約をフックに、これまで来店しなかった「新しい顧客層(特に若年層)」との接点が生まれます。
最大の狙いは「3つめ」です。 契約そのものの利益は低くても、その後の「メンテナンス」「修理」「車検(リースに含まれない場合)」、さらには「任意保険」の契約を自社で獲得できれば、それは「安定したストック収益」となります。 サブスク/リースを「販売」するのではなく、「顧客との長期的な関係性を築くための入口」として活用するのです。
戦略2:「自社商品」として、流れを創る(独自商品戦略)
これは、より積極的で、高い利益率を狙う中〜上級者向けの戦略です。 大手に対抗し、自社で独自のサブスク/リース商品を開発・提供します。
真正面から新車で戦っては、資本力のある大手に勝てません。狙うべきは「ニッチ(隙間)」です。
- 中古車サブスク: 自社の良質な中古車在庫を活用。「月額1万円台で乗れる軽自動車専門サブスク」や「型落ちだけど魅力的なSUV専門のアウトドアサブスク」など、ターゲットを絞ります。。
- 地域密着型サービス: 「〇〇市内限定。契約者には、年2回のタイヤ交換(保管料込)と、月1回の洗車を無料付帯」といった、地域密着店ならではの「顔の見える手厚いサービス」をセットにします。
この戦略の鍵は、自社でリスク(残価設定、在庫管理、資金繰り)をコントロールできる経営体力とノウハウです。成功すれば、顧客を自社で完全に囲い込むことができ、最強の経営基盤となります。
戦略3:「所有」の価値を再定義する(高付加価値戦略)
サブスク/リースが台頭したからといって、すべての顧客が「利用」を求めているわけではありません。 むしろ、「所有」したいという根源的な欲求は、決してなくなりません。
この戦略は、サブスク/リースが提供できない「所有のメリット」を徹底的に磨き上げ、差別化を図るものです。
- 「カスタマイズ」の提案: サブスク/リース車は、原則として「改造・カスタマイズ」ができません。「自分だけの一台」を作りたい顧客に対し、アルミホイール、エアロパーツ、ナビの載せ替えなど、「所有だからこそできる自由」を積極的に提案します。
- 「リセールバリュー」の専門家になる: 「月額5万円」は、一見安く見えます。しかし、「500万円のアルファードを買い、3年後に400万円で売却」できれば、実質的な負担はサブスクより遥かに安くなるケースがあります。 私たちが「リセールの専門家」として、そのシミュレーションを具体的に提示し、「賢い所有」をコンサルティングします。
- 「生涯のパートナー」としての関係性: サブスク/リースが提供する標準的なメンテパック以上の、「何かあったら、まずあの店に電話しよう」と思ってもらえるような、”かかりつけ医”としての人対人の深い関係性を築きます。
結論
「サブスク」「リース」の台頭は、私たち自動車販売店にとって「脅威」ではありません。 それは、自社の「強み」が何であるかを再定義し、旧来のビジネスモデルを見直す「絶好の機会」です。
自社の規模、地域特性、顧客層に合わせて、
- 大手の「代理店」として流れに乗るか。
- 「自社商品」を開発して、ニッチな流れを創るか。
- 「所有」の価値を磨き上げ、別の大きな流れを維持するか。
あるいは、これらを組み合わせるか。 CAR GATEは、貴社がどの戦略を選択すべきか、その「新しい舵取り」を共に考え、実行するパートナーです。
CAR GATE 一同

